ルーミスの「やさしい人物画」という本をご存知でしょうか。
イラスト練習の教本としてよくおすすめされている本なので、イラスト練習をしている人はご存じかもしれません。
実はこのルーミスのやさしい人物画の原本は無料でPDFをダウンロードがすることができます。
ダウンロードできるのは英語版ですが模写するならあまり問題ありません。
ただどうして市販されている本が無料でダウンロードできるのか不思議ですよね。
「著作権が切れているから」といわれていますが果たして本当でしょうか?
この記事ではルーミスの「やさしい人物画」の無料ダウンロードについてご紹介しています。
無料ダウンロードできるサイトもあわせて紹介しているのでよかったらご覧ください。
やさしい人物画について
ルーミスの「やさしい人物画(原題:Figure Drawing For All It’s Worth)」は1943年に出版された本です。
ルーミス自身がイラストレーターだったということもありイラストレーターに人気が高く、かなり昔の本にも関わらず、現在でもイラストの教本として紹介されることが多い本です。
アメコミ作家に与えた影響も大きく、現在もアメリカのAmazonのフィギュアドローイングの部門では売上1位になっています。
ただしやさしい人物画というタイトルとは裏腹に「全然やさしくない」という意見が多い本でもあります。
確かに全くイラストを描いたことのない人が、評判を聞いていきなり手をだすと心が折れる内容ではあります。
ちなみにルーミスの本はほぼすべての本のタイトルに「やさしい」「初めての」などと書いてありますが、原題ではそんなこと一言も書いてありません。
タイトル詐欺だと思う方は、本を買ってもらいやすいようにキャッチーなタイトルをつけた当時の編集者を恨みましょう。
ルーミスのやさしい人物画はどうして無料なのか?
ルーミスのやさしい人物画は現在も市販されている本ですが、同時に無料ダウンロードできるサイトもあります。
どうして無料ダウンロードできるのか調べてみました。
ルーミス本の著作権は切れていない
ルーミス本が無料で手に入る理由の一つに「ルーミスの本は著作権が切れているから」という意見がありますが実はこれは間違いです。
ルーミス本の著作権は2020年時点ではまだ切れていません。
この勘違いは日本の著作権の保護期間が著者の没後50年になっていたためだと思います。
ルーミスがなくなったのは1959年なので、この計算だと2009年には著作権が切れることになります。
ただしアメリカの著作権の保護期間は70年です。
そのため原本のルーミス本の著作権は2029年まで有効ということになります。
その後日本は2018年12月30日にTPP(環太平洋パートナーシップ協定)に参加し、その時に著作物の保護期間が見直され、アメリカの保護期間と同じ70年になりました。
そのため日本でもルーミス本の著作権は2029年まで有効ということになります。
さらに第二次大戦前の著作物については「戦時加算」というものが加わります。
これは戦争中の期間を著作権の保護期間に加えることで、戦争中の不利益から著作者の権利を保護するための制度です。
アメリカの著作物の戦時加算は最大で3794日(約10年5ヶ月)となっていて、戦時加算を加えると、ルーミスのやさしい人物画の著作権は2039年まで有効ということになります。
日本では戦時加算があるので一部の著作物に関しては著作権が存続しています。
Fun with a Pencilは2040年5月22日まで、Figure Drawing for All It's Worth(やさしい人物画)は2039年4月29日まで権利が存続します。参考リンク:ルーミス本の著作権失効の真偽に迫る
ということで、ルーミスのやさいしい人物画の著作権は切れていないということになります。
配布元では無料ダウンロードできなくなっている
ルーミス本はいくつかのサイトで無料公開されていますが「saveloomis.org」というサイトが配布元となっていると別のブログに書いてありました。
ルーミス本の著作権がどんな状況に置かれているか気になり、pdfを公開しているサイトをいくつかあさってみると、出所と見られるサイトを発見した。
http://www.saveloomis.org/
参考リンク:ルーミス本の著作権失効の真偽に迫る
ただこの記事では「なぜ『saveloomis.org』が配布元サイトとわかったのか」の詳しい理由は書いてありません。
サイト管理者にメールを送ったと書いてあるので、そこで確認したのかもしれませんが詳細は不明です。
ただしこの配布元となったであろうといわれているサイトではルーミス本は無料でダウンロードできなくなっています。
著作権利者からを違法であるという通知を受け取り、サイトでの公開を止めるようにいわれたためです。
Due to a cease-and-desist letter from the current copyright holders of the Loomis books I have been forced to take down all copies of his work from my site.
ルーミスの著作権は親族が丸投げして弁護士が管理しているという話なので、弁護士から通知が届いたのでしょう。
ただし「インターネットアーカイブ」では今もダウンロードできる
配布元となったサイトではダウンロードできなくなっているということはルーミス本のダウンロードは違法じゃないかと思うかもしれません。
しかし調べてみたところ現在も「インターネットアーカイブ」という信頼性の高いサイトでルーミス本は無料公開されているようです。
「インターネットアーカイブ」はウェブアーカイブを目的としたアメリカの非営利組織です。
過去のWebページを調べることができる「Wayback machine」を運営している組織としても有名です。
ぼくみたいにWebサイトを作ったことのある方は、インターネットアーカイブは知らないけどWayback machineは使ったことがあるという方もいるんじゃないでしょうか。
インターネットアーカイブは、国立国会図書館の「インターネット資料収集保存事業」からもリンクが張られている信頼性の高いサイトです。
インターネットアーカイブでは、ウェブアーカイブの他に著作権が切れたパブリックドメインの本や映像なども公開しています。
そしてその中にはルーミス本も含まれています。
アップロードされたのは2011年とかなり前ですが現在でも問題なく利用できます。
もし問題があるならインターネットアーカイブからもルーミス本はすでにダウンロードできなくなっているのではないでしょうか。
ルーミスのやさしい人物画の無料ダウンロードまとめ
- ルーミス本の著作権は切れていない
- ダウンロードが停止されているサイトもある
- ただし信頼性の高いサイトでは今もダウンロードできる
ルーミス本の無料ダウンロードについて色々調べてみた結果「ルーミス本の著作権は切れていないけど、信頼性の高いサイト(インターネットアーカイブ)で今もダウンロードできる」ということなりました。
ただしインターネットアーカイブは個人でもデータをアップロードできるので違法だけど放置されているだけの可能性もあります。
そのため利用する際は自己責任でお願いします。
原本は英語なので日本語で文章を読みたいという方は日本語版の書籍版をきちんと購入しましょう。
多少お金はかかりますが、模写をして画力が上がることを考えれば十分元はとれます。
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